別れの予感

 昨夜仕事から帰る途中でTから電話があった。運転中だったので車を停める。
 最初は一方的にまくし立てていたが、私が彼の別れるという内容に、あまりにも
 素直に「うん、解った」と言ってからは落ち着きを取り戻したようだった。
 
 別れる条件に、私が連れてきた犬を引き取ってほしいという。
 私が引き取らなければ、「保健所」に連れて行くと言う。
 自分でも他に犬2匹飼っている人間が、私がいなくなったからといって、
 今まで飼っていた犬を「保健所」に差し出す事などできるのだろうか?
 私は彼のそんな神経が嫌でたまらない!!
 それとも私をつなぎ留める口実なのか。。。
 とにかくこの老犬の行き先を探さなければ。私が飼えれば一番良いが、
 それもできないし、どうしてよいやら。。。

 
 頭の中が錯綜しながらも、Iにメッセ。今の状況を伝えるといつものように
 優しく心配してくれる。いろいろ話している内に私の気持ちが固まった。
 「私、我慢する、犬が生涯を終えるまで。。。」と打ちながら、涙が頬を
 伝わった。自分の無力さと、Iに心を許して楽になったのと両方から
 そうなったのだろう。
 犬の為なら、自分を偽って生きることもできると確信した。