霧の向こう側

 昨日Tは男友達と食事したり、飲みに行ったりしたらしい。私がもうほとんど
 一緒に行動しないものだから、彼等と遊んでるようだ。
 

 最近はとんと女気のないTだったが、今日は違った。たまたま知り合った女子
 大生(3年生)と、カラオケと飲むのが趣味ということで、意気投合して、
 二人で飲みに行ったのだ。
 その子は上原多香子眞鍋かをりを足して、2で割った様な和風な美人だった。
 おまけにスタイル抜群で好感の持てる女の子ではあった。が、初めて会った
 50過ぎのおじさんと飲みに行く神経は理解できない。
 Tは私も行くかと、一応誘ったが、行かないのも解かっていた。
 
 私はこの二人を送り出して、なんだかホッとした。二人が親密になってくれれば
 とさえ思った。ここまでTと心が離れているのに、一緒にいる方が不自然なのかも
 しれない。普通だったら、やきもちをやくところだけど、かえって気分がすっきり
 落ち着いた。
 帰り道、めずらしく濃霧がかかって、それが白く、神秘的な美しさで、この先
 には何があるのか想像させていた。